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『死神と少女』クリア後感想 あとがきの章(前編)
まぎらわしいのですが、「あとがき」の章と言うものが存在しますので、それを交えつつの総評という形にしたいと思います。

次回以降はとりあえず『勇者30SECOND』をざっと書いてしまおうと。

下記感想。


最後に現れる『あとがき』の章。
「信頼出来ない語り手」である紗夜や蒼の手を離れて最後に語るのは・・・。

***

・・・正直驚いた。特にネタバレを見ていたわけではないんだけど、出てくる単語。

主観  視点  物語  作者  読み手  

なんか結構いいところ行ってたみたいです。

さて、ここで現れるのは桐島。他人とは違うものを見ていた彼の立場とは。そして実在しない「遠野十夜」の本を書いていた本当の『遠野十夜』とは。

結末を言うなれば、『遠野十夜』とは蒼の居候先の古本屋主人である臥待春夫。彼は紗夜の継母、蒼の母の友人であり、精神科医。彼の書いた物語に即して、この話は進んでいたということになる。彼は『作者』。物語を綴ることのできる唯一の人物。

対して桐島の正体は、この物語の『読み手』。つまるところ、読者である。
たとえば、挿絵が両ページに入っている本を見開いた時、その物語の登場人物たちは隣のページの絵を知らない。しかし、読者であるものにとっては、それは見えるものになる。桐島は、紗夜たちとは別の主観を持った存在。

そして紗夜は『物語』。そして主人公。登場人物であり、物語を構成する必要要因。

あとがきは、桐島(読者)が臥待(作者)に物語の真意を問う形で進む。臥待はそれに対し、答えていく。
彼の目的は、紗夜の幸せ。幾重にも枝分かれした物語の中で、最後に紗夜が幸せになれる物語を構成していたというもの。桐島は外的要因であるため、物語には登場しないはずだった。逆を言えば、それ以外の人物は皆、彼の作った物語に必要であった要因に過ぎない。

ここで驚いたのは、先日提示した「翻訳論(物語)」と「精神構造」を臥待が満たした人物であったこと。
「物語が最重要なんだ」とするならば、臥待の職業は文筆家でいい。が、精神科医としたことにこだわりを感じる。二面からとらえるのは間違いではないということだろうか。


臥待は、

「作者は物語に干渉できない」

という主旨を語ったが、果たしてそうなのか。登場人物たちの行動を制限し、運命を握ることのできる彼こそ、死神ではないのか。

ラスト、臥待の「君が彼女を幸せにする選択もある」はメタともとれるが、桐島はそれに否と返している。これは幻想物語だという締めとなっているのが、物語の最終判断を、さらにそれを見下ろすプレイヤーへまかせたということだろうか。

以下、登場人物についての簡単かつ勝手なまとめ。

***

<遠野紗夜>
・物語
登場人物にして主役、そして「信頼出来ない語り手」を務める。『ライ麦畑』のホールデンであり、『アクロイド』のシェパード医師。臥待の行動、そして物語の登場人物はすべて彼女のためのものであり、彼女こそが『物語』。
どこまでが幻想で、どこからが現実か。そもそも、彼女は実在したのか。彼女の深層心理改革がこの話のすべてだった。

・心理
幼少期の母子体験(継母からの否定、死。実母のネグレクト)から、他人に対する態度に難がある。依存傾向が強く、自身の価値を他人に依存している。各ルートにおいて彼女がたどる道筋により、どこまで自立できるかに差がある。

<遠野十夜>
・物語
登場人物であり、重要なファクター。実在せず、紗夜の精神のために紗夜から、そして臥待から生み出された存在。擬似的な作者を務める。

・心理
紗夜にとってのイマジナリーフレンド。彼女にとっての理想であり、彼女を生かす存在。彼の存在が彼女にとってのプラシーボ効果を生んでいたと思っていいと思う。

<蒼>
・物語
物語を進めるための牽引者。彼もこの話の中では「死神」という職を与えられた存在であり、重要ファクター。

・心理
自己立脚に不安があり、そこを幼少期に抱いた思想(「自分は死神だ」)で埋めてしまったために起こる、自己同一性の不安定さ。
それから脱するには、立脚点を持つことが最善の道であるが、それを紗夜に求めてはいけない。

<日生光>
・物語
物語の登場人物であり、この一連の構造に気付いた存在。紗夜の精神改革を後押しした。

・心理
日生(真)に起こる、アイデンティティの欠如。自分とは何者であるか。彼はこの問題について前進しており、今後次第に解決していくと思われる。

<桐島七葵>
・物語
この物語の『読み手(読者)』にあたる人物。物語を俯瞰的立場から見下ろし、『信頼出来ない語り手』の手を離れた物語の真実を解くことのできる、主観を持つもの。彼は一連のことに対して、異邦人。

・心理
世界観にとっての例外である彼であるが、自身の異質性、立ち位置、それらとの共存についてうまう処理していたように見える。




<夏帆>
紗夜の依存欲求を満たす存在。彼女の過去大事にしていた人形に似た容姿。臥待の調整の結果か?
紗夜とは互いに依存関係が強い。他に親しい者を持たず、紗夜に注目してくれる、紗夜にとっては理想的な友人。

<夏目>
人形への依存性。人形が戻った以降の章では、手元にあることによる安心感を持っているように見える。
紗夜への敵対心を持っていたことから、臥待に選ばれなかった登場人物ととらえられる。




ゲーム自体のまとめは後編で。
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2011.08.18(Thu) | 死神と少女 |

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