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『死神と少女』序章~第1章プレイ感想 (、と『語り手』)
まだまだ序盤。ながらもなかなか1章あたりが長めですね。

第1章の時点で2回バッドエンド(?)を出した奇跡。
最近正解がわかりやすいゲームばかりやってたからなぁ・・・。
正解の選択肢に「ピロン♪」がないことにこんなに戸惑うとは・・・っ!

今のところの印象は、

耽美&ミステリアス&偏愛

あまりに今まで見たものとは違う印象のため、すぐにパッケージを裏返す。CEROマークを確認。

『恋愛』『セクシャル』『暴力』『言葉、その他』

おお・・・、めっちゃ載ってる・・・。
作中に絡む感想は下記。ネタバレ!というか作中の話を書いているので、閲覧注意。
あとクソ長い。




物語の中に大きく『本』『物語』の要素が絡んでくることが分かった。おそらくこのノリで進むんだろう。
先程も書いたように、全体に漂う耽美やらミステリアスやらの世界。なんぞこれ!?

<序章>
遠野紗夜(主人公)と蒼(死神)の出会い。
何より始まった直後の紗夜と兄が寄り添っているスチルにビビった。なんぞこれ。
主人公と兄が妙にお互いを好き合っていることと、主人公の友人が主人公を好きすぎることと、先輩の得体が知れないことと、死神が出てきたことと、とにかくみんななんか変だということ。

<第1章『籠の鳥』>
やっぱり謎世界観。作中に兄の『本』が関わってくることがよくわかる。
一番最初に提示された『籠の鳥』という作品に基づいて、一人の女性を追う。
とにかく出てくる人物の人間性が特殊であることがわかる。

この話での重要人物は、太宰ともゑ。高校2年生のとき1年間の記憶を失った女性。
この話で提示された『籠の鳥』の大まかなあらすじは、

***

「鳥かごの中で暮らしている鳥が、外を飛ぶ鳥に外界のことを問いかける。「籠の外に出たい」という鳥に、外界の鳥は外の世界のことを聞かせ、問答をする。外に出してやろうという鳥に、籠の鳥は逃げられるわけがないと返す。飼い主が来たので、迎えに来ることを約束して去る。
それ以来鳥はやってこない。今日も籠の鳥は「籠の外に出たい」と鳴いている」

***

ふむ、とここまではともかく、結果から言えば、ともゑは愛した教師の記憶を失っていた。教師には婚約者がいたが、彼と愛し合っていた。かけおちするはずだった教師は迎えに来ず、それを悲観した彼女が自殺を図って記憶を失ったのが真実。

その悲劇に酔っている(?)ところに、桐島先輩が真相を持ってくる。実は教師はむかっている最中に事故に遭いなくなっていた。彼女は裏切られたわけではなく、教師を信じられなかったともゑがはやまっただけ・・・。
ともゑが信じていた物語は既に終わっていた。
思い出さなければよかったと嘆き意識を失った彼女を、『ともゑの姉』という人物が連れて行って了。

最後、『ともゑに姉妹などいない』という真実を残して。

このゲームなんか怖っ!テンション上がった!!
全体的にミステリアス展開。登場人物たちも、みんな「こいつ一筋縄じゃいかねぇ」というような雰囲気。

恋愛ゲームというよりは、アドベンチャーゲームですね。選択肢が何に関係しているのか不明で、2回のバッドエンドを見た。
このうちのひとつの終わり方が狂気を感じてすごく良かった。

要約
>その後、彼女がどうなったのか知らない。
>これでよかったのだ。
>いつもと変わらない。
>ああ、時計の針が動かない。

滾ったわ。
まだよく分からないのだけど、面白いです。話的な意味で。
雰囲気としては、『キノの旅』みたいな?



・・・はい。ここからちょっとゲーム感想から離れます。そもそもこのゲーム結構特殊!
なんとなく方向性の分かった話。シナリオライターの方は文学論とか翻訳論をかじった人だろうか。という感想なのですが、その理由をちょっとこちらに。

第1章に提示されている要素として、

・太宰ともゑは記憶喪失である
・『籠の鳥』は“籠”に入った鳥から見た視点の話である

作中、この“籠の鳥”と太宰ともゑは同一視する形で描かれている。
本当に迎えに来なかったのか、裏切ったのはどちらだったのか。


<信頼出来ない語り手>

ここで少し文芸論(?)的な考え方をすると、この作中にたびたび現れる疑問は『信頼出来ない語り手』であるように思う。

小説は、大抵三人称で語られるものである。第三者の視点で、物語を見下ろすのがこれに当たる。一般的な小説は大抵がこれにあたる。
これが一人称である場合、その内容を主観で語り始める。自身の記憶、感情、知識などを基に物語を構成する語り部だ。すると、この語り部は『信頼出来ない語り手』となる。また、作品を誰かの手記として三人称的に語る場合も『信頼出来ない語り手』となる。
最も、正しいことを伝える語り手も存在する。しかし、作中にその人物が登場人物として存在する以上彼らの存在もまた『信頼出来ない語り手』となる。

日本で有名なのは『羅生門』ですかね。他にはアガサ・クリスティーの『アクロイド殺し』。
このあたりは専門家でもないので、調べていると面白いかも?

要するに、
「作中に登場する人物による語り」
がこれにあたる。語り手が犯人の作品とか。

<『籠の鳥』>

上記の『籠の鳥』の物語の解釈について、作中のキャラクターが語っているのですが、“籠の鳥”は「外に出たい」という願望を口にしながらも実際はその行為について否定的ないしは懐疑的な問答を繰り返している。
結末だけを見るのならば、外の鳥は迎えに来ず、“籠の鳥”は裏切られたように見えるが、外の鳥は本当に約束を果たさなかったのか。

なんだか条件をクリアすれば解放されるストーリーっぽいのですが、この『籠の鳥』のストーリーは、続きがあり、それは視点を変えて語られているそうです。

この場合、“籠の鳥”は読者側に「この鳥は迎えに来られなかった被害者だ」という印象を与える主観語りをしている『信頼出来ない語り手』となっているようにみえる。


<太宰ともゑ>

では、この鳥と同一視するような描かれ方をしている彼女はどうだろうか。
当初、彼女は記憶喪失として登場する。そしてその中で、失った1年間の記憶を取り戻したいと考えている。
この時点での彼女は語ることをしていない。

彼女に何があったのかを知るのは、主人公紗夜が彼女について調べる過程で現れる。
記憶を取り戻した彼女の語る話は、

・迎えに来なかった教師
・彼の婚約者に自分は劣っていた
・裏切られた自分

が登場する。彼女はいつまでもこの物語に酔っている状態で、自分を被害者と呼ぶ。
しかし、教師の思念が語る記憶では、実際彼は現場へ向かっていた。彼女を愛していた。婚約者に別れを告げていた。
別の人物が語る視点と、ともゑの視点は大きく食い違っている。そこでようやく彼女は、自分こそが裏切ったのだと気付いて失意に沈む。
彼女も記憶を失ったことにより『信頼出来ない語り手』となり、その後自らに騙された読者ともなったように思えた。

ところで、紗夜はこの話の中で「婚約者こそが被害者だ」という認識を持っている。
しかし、これもまた彼女の主観での話だ。本当に婚約者は被害者だったのか。紗夜もまた、誰かに騙された読者ではないのか。


<他>

ところで、これまでの話でなんとなく分かったかと思うが、この『信頼出来ない語り手』は何も太宰ともゑに限った話ではない。
得体のしれない、何者かよく分からないという状態で語っている時点で、主人公紗夜もこれにあたる。
というよりは、往々にして文字を読ませるタイプのアドベンチャー形式のゲームはすべてがこれに当たるといってもいいかもしれない。
特に主人公側、女性側の心理描写に注視する乙女ゲーは特にそうだろう。

別のゲームを取り上げれば、『信頼出来ない語り手』の一種の『記憶が曖昧な語り手』として挙げられるのはQUINROSE作『ハートの国のアリス』の主人公アリスがいる。

彼女は自分の記憶が曖昧な状態ではあるが、死んだ姉を神聖視し、その死に対する罪を悔い続けている。
しかし、本当に姉は神聖な人だったのだろうか?素晴らしい人物だったのだろうか?
物語はアリスの視点で進み、既に故人である姉は彼女の記憶でしか出てこない。
読み手である私たちには、姉の真相は分からないのに、姉は素晴らしい人だという印象を与えられる。

他、ネタバレを避けますが『記憶の曖昧な語り手』『読み手を騙す語り手』としては『Ever17』が良い例だと思う。

ちょっと違う話にはなりますが、この制作会社が作った前作『カエル畑DEつかまえて』という題名ですが、これは『ライ麦畑でつかまえて』のパロディ?プレイしていないのでなんともいえないのですが。
この『ライ麦畑でつかまえて』も主人公の主観的な語りから『信頼出来ない語り手』の例として有名な作品だ。

ちなみに、これを書いている私も作品を主観で描いている時点で『信頼出来ない語り手』だと思う。
冗長ですみません。お付き合い頂きありがとうございます。まあ、全部想像ですよ。想像。
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2011.07.30(Sat) | 死神と少女 |

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